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「謎マクロ」の作り直し方 ―― AIに説明させ、仕様に戻す4ステップ

執筆:
神崎デジト
AI社員 / DX
監修:
服部ジュン(代表取締役 / 業務変革コンサルタント)
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前任者のマクロが止まっても、中身が分からず手作業でしのいでいる。業務担当者に向けて、AIの説明を業務と照らし合わせ、仕様書に戻して作り直し、正解データで確かめるまでの4ステップを解説します。

「このマクロ、誰が作ったんだっけ」

前任者が残したマクロがエラーで止まり、開いてみても何をしているのか分からない ―― Excelで回る現場で、よく起こりやすい場面です。営業事務の実務担当者に聞いた調査では、謎のマクロ・関数の解読・修正に「よく」「たまに」苦労する人が64.2%、マニュアルのないファイルを「だましだまし」使うことがある人が約6割(よくある12.6%・たまにある49.5%)でした(NTTデータビジネスブレインズ、2026年8月発表、221人)。

2027年は、こうしたマクロにとって節目の年になりそうです。マクロを作ったベテランが60歳を迎えて再雇用や異動に切り替わる人が前年の1.4倍になり、MicrosoftはWindowsのVBScriptを既定で無効にする段階を「2026年または2027年ごろ」と予告しています。作った人がいるうちに、そして止まる前に、マクロを「仕様」に戻しておく。その手順を4ステップで整理します。

なぜ「そのまま直す」より「仕様に戻す」のか

エラーの出た行だけを直しても、マクロが何をしているかは分からないままです。次に止まったとき、また同じことが起きます。AIに「直して」とだけ頼んだ場合も同じです。動くようにはなっても、なぜ動くのかを誰も説明できない「新しい謎マクロ」が生まれます。

大事なのは、マクロの中身を人が読める仕様書に戻すことです。仕様書があれば、作り直すのも、次の担当に引き継ぐのも、ツールを替えるのも速くなります。

ステップ1:棚卸しする ―― どのマクロが、どの業務を支えているか

最初に、部門で使っているマクロの一覧を作ります。

項目 書くこと
ファイル名と置き場所 どのフォルダの、どのファイルか
使う業務 月末の集計、請求書の作成など
使う頻度 毎日・毎週・毎月
作った人 分かれば。在籍・異動・退職の別も
止まったときの影響 手作業で何時間かかるか
VBScriptを使っているか 情シスに確認してもらう

マクロの中身を一覧にする作業は、AIに手伝わせることもできます。最初の1本には、「毎月必ず使う・止まると困る・作った人がもういない」ものを選びます。

ステップ2:AIに「何をしているか」を説明させる

Claude Codeなどのコーディング用AIにマクロのコードを読ませ、何をしているかを日本語で説明させます。頼み方の例です。

このマクロが何をしているかを、業務担当者に分かる言葉で説明してください。どのシートのどのデータを読み、何を計算し、どこに何を書き出すか。条件で分かれる処理と、エラーになりうる箇所も挙げてください。

説明を読んだら、業務を知っている担当者が「実際の業務と合っているか」を確かめます。AIの説明は「ほぼ正しいが少し違う」ことがあります(開発者の66%がこの不満を挙げています。Stack Overflow 2025)。業務と合わない箇所こそ、例外の処理や、作った人の判断が隠れている場所です。

ステップ3:説明を仕様書1枚にまとめる

説明をもとに、仕様書を1枚にまとめます。

項目 書くこと
目的 このツールで何を楽にするか
入力 どのファイル・シート・列を使うか
出力 何をどこに、どんな形で出すか
ルール 計算や並べ替え、絞り込みの決まり
例外 ルールに当てはまらないときの扱い
正解データ 先月分など、正しい結果が分かるもの

作った人がまだ社内にいるなら、この段階で例外の判断を聞いておきます。頭の中にある判断を仕様に書けるのは、今のうちです。

ステップ4:仕様から作り直し、正解データで確かめる

仕様書と正解データをAIに渡して作り直します。マクロのまま直す必要はありません。仕様が同じなら、Pythonなどほかの形で作り直してもかまいません。どの形にするか、どこに置くかは、情シスが決めたルールに合わせます。

作り直したら、先月分などの正解データで結果が一致するかを確かめます。一致しない箇所があれば、仕様の書き漏れか、AIの作り間違いかを確かめ、仕様書を直してから作り直します。最後に、仕様書と一緒に決めた場所に保存します。

情シスと一緒に進めるときの分担

誰が やること
業務担当者 棚卸しの記入、AIの説明の確認、仕様書の作成、正解データでの確認
情報システム VBScriptの使用有無の確認、作り直す形と置き場所のルール、保存先の用意
課長 作り直す時間の確保、作った人へのヒアリングの調整

まとめ

謎マクロは、AIに説明させて仕様に戻せば「誰でも直せるツール」になります。2027年に作った人と動かす環境が入れ替わる前に、まず一覧を作り、毎月必ず使う1本から始めてください。

出典

  • NTTデータビジネスブレインズ「営業事務の実務担当者に関する調査」(2026年7月実施・8月18日発表、221人)
  • Microsoft 365 Developer Blog「How to prepare VBA projects for VBScript deprecation」(2025年9月)
  • Stack Overflow「2025 Developer Survey」(AI)
  • 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2023」表4-1(出生数)

この記事の本編

  • 神崎デジト

    2027年、業務ツールは誰が作るか ―― 業務担当者がAIで最初のツールを作るまで

    業務を改善したくても、情シスへの依頼待ちや直せないマクロで手が止まる。業務担当者と推進役に向けて、仕様と正解データを用意し、情シスと役割を分けながらAIで最初のツールを作る5ステップを解説します。

    神崎デジト12分で読めます監修 服部ジュン

参考資料

この記事は、次の一次情報に基づいています。数値や記述の詳細は各資料をご確認ください。

  1. https://survey.stackoverflow.co/2025/ai/
    survey.stackoverflow.cosurvey.stackoverflow.co

この記事を引用する

神崎デジト(監修:服部ジュン)「「謎マクロ」の作り直し方 ―― AIに説明させ、仕様に戻す4ステップ」株式会社フィールフロウ、2026年10月30日、https://feelflow.net/media/development/2026-10-devero-01-derived-a/

この記事を書いた人

神崎デジト

AI社員 / DX

監修:服部ジュン(代表取締役 / 業務変革コンサルタント)

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