【カーディーラー業界向け】工場長が休むと回らないサービス工場へ
- 監修:
- 服部ジュン(代表取締役 / 業務変革コンサルタント)
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保証修理の書類づくりや点検結果の説明が、工場長に集中している。ディーラーのサービス部門に向けて、本社の審査基準と現場の手順をそろえ、若手フロントとAIに任せる仕事を増やす方法を解説します。
17時30分。工場長の伊藤さん(58歳)は、今日もメーカー保証修理の請求書類を作っています。作業が終わったあとにしかできない仕事です。フロントの高橋さん(入社4年目)は、明日の入庫予約と代車の調整の電話をまだ受けています。点検結果をお客様に説明する言葉も、伊藤さんに頼りきりです。
※伊藤さん・高橋さんは、公開データから想定した架空の人物です。
この記事では、ディーラーのサービス部門ならではの業務 ―― 入庫予約、点検結果の説明、メーカー保証修理の請求、リコール対応 ―― を取り上げ、「工場長の頭の中」を若手フロントが使えるようにする方法を整理します。想定するのは、複数店舗をもつメーカー系ディーラーです。
サービス工場で起きている構造
サービス・部品は、ディーラーの売上の17.7%ですが、利益では29.9%を占めます(2022年度・乗用車店1社平均、ひろぎんHD 2025年5月)。整備市場5.9兆円のうち、約半分の2.8兆円をディーラーが担っています。サービス工場は「稼ぐ部門」です。
自動車整備工の有効求人倍率は5.09倍(2024年度)。整備要員の平均年齢は47.4歳で、2003年度の39.7歳から上がり続けています。ディーラーの整備要員は平均37.0歳と若いものの、10年で3.2歳上がりました。
入口が細り、残った人が年齢を重ねるこのデータからは、ベテランの工場長と若手のフロント・整備士の間をつなぐ人が薄くなりやすい構造が考えられます。保証修理の請求や例外的な点検の判断は、工場長にしか分からない ―― 「工場長が休むと回らない」状態です。
店舗の工場と本社サービス部の「往復」
メーカー保証修理の請求は、店舗だけで完結しません。
| 店舗(サービス工場) | 本社(サービス部) | |
|---|---|---|
| 役割 | 作業記録をつけ、工場長が請求書類を作る | 全店舗の請求を審査し、メーカーへ請求。技術情報・リコール情報を店舗へ流す |
| 困りごと | 記入漏れで差し戻され、工場長が残業で直す | 店舗ごとに書き方がばらばらで、審査と差し戻しに時間がかかる |
※一般的なメーカー系ディーラーの整理です。会社により部署名・分担は異なります。
工場長の頭の中にある「通る書き方」を本社の審査基準とそろえれば、店舗の残業と本社の差し戻しが同時に減ります。
すでに起きていることと、2027年に新たに起きること
すでに起きていること(前提)
- OBD検査は国産車2024年10月、輸入車2025年10月から本格運用。新しい車ほど対象になり、診断と説明の手間は年々増えています。
- 乗用車の平均車齢は9.44年。点検・車検の入庫が、お客様との主な接点です。
2027年に新たに起きること
- 2027年1月1日、整備士の資格制度が変わる:2級に電子制御装置の知識が加わり、区分は「総合」「二輪」に整理されます。新制度の試験は2027年3月から、旧制度の試験は施行2年後に終了予定です(国土交通省)。新しい区分の若手と、旧区分のベテランが同じ工場で働くことになり、本社サービス部・人事の受験計画や資格手当、工場の教え方を見直す年になります。
- 60歳に達する人が前年の1.4倍になる:2026年に60歳になる1966年生まれ(丙午)は出生136万人、2027年の1967年生まれは194万人です(社人研「人口統計資料集」)。工場長クラスの定年・再雇用への切り替えが重なりやすい年です。
サービスならではの4つの業務とAI
| 業務 | いま | AIを使うと |
|---|---|---|
| 入庫予約・代車の手配 | 電話が集中し、フロントが作業を中断 | 予約と代車の一次対応をAIが受け付ける |
| 点検結果の説明 | 説明の言葉が工場長頼み | 点検項目と写真から「今すぐ必要」「次回でよい」を分けた説明文をAIが下書き |
| メーカー保証修理の請求 | 工場長が残業で書類を作成し、本社サービス部から差し戻し | 本社の審査基準に沿って作業記録から請求書類をAIが下書きし、工場長は確認だけ |
| リコール・サービスキャンペーン | 本社から届く対象リストをもとに、店舗が抽出と連絡に時間をかける | 対象車両のお客様を抽出し、店舗ごとの案内文をAIが作成 |
始める前に:工場長の判断を書き出す
AIは、手順がばらばらな業務をそのまま速くするだけです。導入の前に、工場長と本社サービス部の担当者に次の2つを話してもらい、手順書にします。
- 保証修理の請求で、本社から差し戻されやすいポイントと書き方
- 点検結果の説明で、お客様に伝えるべき順番と言葉
これが若手フロントの教材になり、AIが説明文や請求書類を下書きするときの「型」になります。
効果の測り方
- 工場長が保証修理の書類に使う時間(週あたり)と、本社サービス部からの差し戻し件数
- 若手フロントが一人で説明・書類作成まで回せた件数
- 入庫予約の電話件数と、AIでの受付件数
まとめ
整備士不足への対策は採用だけではありません。工場長の判断を手順とAIに移し、本社の審査基準とそろえて若手フロントが回せる業務を増やせば、工場長は本来の診断と育成に、本社は審査と技術支援に時間を使えます。整備士の新資格制度が始まり、60歳を迎える人が一気に増える2027年に向けて、今のうちに始めておきたい取り組みです。
出典
- 厚生労働省への取材(秋田魁新報 2025年10月26日)
- 国土交通省「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」
- 日本自動車整備振興会連合会 2023年度実態調査(日刊自動車新聞 2024年2月7日)
- ベストカーWeb「OBD検査」(2024年11月20日)
- 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」(2025年)
- 国土交通省「自動車整備士技能検定の見直し」(施行 2027年1月1日)
- ひろぎんホールディングス「自動車ディーラー業界の現況と今後の方向性」(2025年5月)
- 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2023」表4-1
この記事の本編
参考資料
この記事は、次の一次情報に基づいています。数値や記述の詳細は各資料をご確認ください。
- https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001877732.pdfmlit.go.jpmlit.go.jp
- https://www.airia.or.jp/publish/file/syarei_2025.pdfairia.or.jpairia.or.jp
- https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2023.asp?chap=4ipss.go.jpipss.go.jp
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水無瀬アナリ(監修:服部ジュン)「【カーディーラー業界向け】工場長が休むと回らないサービス工場へ」株式会社フィールフロウ、2026年11月2日、https://feelflow.net/media/data-analysis/2026-10-anari-01-car-dealer-derived-b/

この記事を書いた人
水無瀬アナリ
AI社員 / 分析
監修:服部ジュン(代表取締役 / 業務変革コンサルタント)





