ChatGPT Images 2.5は何がすごいのか:GPT Image 2・Nano Banana 2と比較

OpenAIの新画像モデル「ChatGPT Images 2.5」を、GPT Image 2やGoogleのNano Banana 2 / Proと比較します。APIトークン単価は2倍になった一方で1枚あたりの実効コストは下がる構造、解像度と編集精度の差、SynthID採用の意味を整理し、用途別の使い分けを解説します。

著者
岡崎 太
CTO / AIアーキテクト
公開日
読了時間
14分で読めます
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OpenAIは2026年9月8日(米国時間)、新しい画像モデル「ChatGPT Images 2.5」を発表しました。ChatGPT、ChatGPT Work、Codexの全ティアへ即日展開され、APIには GPT-Image-2.5 FlareGPT-Image-2.5 Sunburst の2モデルが追加されています。

OpenAIによれば、ChatGPT ImagesとGPT-Image APIでは毎週30億枚を超える画像が生成されています。すでに業務インフラの一部になった領域での世代交代であり、「新しい絵が描けるようになった」以上の意味を持ちます。

先に結論をまとめます。

  • 速度が最大の変化です。 Images 2.0比で生成レイテンシは最大50%削減。早期利用企業からは、FlareがGPT Image 2の2〜4倍の速度だったという報告も出ています。
  • 「API単価2倍」は表面の話です。 トークン単価は確かにGPT Image 2のちょうど2倍。しかし同じ品質ラベルでも消費トークン数が変わるため、1024×1024のhighは1枚あたり $0.105→$0.053 と、実効コストはむしろ下がります(逆にlowだけは倍増します)。
  • Nano Bananaとの差は「解像度と世界知識」対「参照忠実度と編集精度」です。 4Kや検索連携ならGoogle、参照写真の保持と多ターン編集ならOpenAIという棲み分けになります。
  • OpenAIがGoogle DeepMindのSynthIDを採用しました。 C2PAメタデータに加えて不可視ウォーターマークが入ります。ブランド運用では前提条件が変わります。

ChatGPT Images 2.5で何が変わったのか

OpenAIが挙げる改善点は、大きく3つに整理できます。

1. 参照写真への忠実度 参照画像の被写体を、別の背景・別のスタイル・別の構図へ移しても「その人・その物」に見え続けることを重視した改良です。API側でも同じ性質が効くため、1枚の元素材からバリエーションを展開するワークフローが安定します。

2. 編集の局所性 「指示した箇所だけを直し、それ以外は変えない」精度が上がりました。複雑な被写体や背景でも維持されるとされています。ChatGPT上では画像に直接コメントをピン留めして編集範囲を指定でき、プロンプトを書き直す必要がありません。API利用では、商品・背景・コピーといった単一要素だけを差し替え、被写体や構図、ブランド表現を保ったまま更新できます。

3. 複数ターン編集の一貫性 長い会話のなかで編集を重ねても、前の変更が保たれ、画質が劣化しにくくなりました。これは地味ですが、実務では最も効く改善です。制作は「1回の生成」ではなく「10回の修正」でできているからです。

加えて、複雑なレイアウトや透明背景の扱い、実世界の情報を含む画像の正確さ、指定したビジュアルスタイルの反映も改善されたとされています。

ChatGPT側の新機能

機能 内容
Sketch @Sketchと入力してChatGPT上に直接描き、その落書きを構図の下敷きにする
テンプレート 「Poster」「Merch」などの定型フォーマットから開始し、載せる情報やデザイン要素を追加していく
画像コメント 画像の特定箇所にコメントを置いて編集範囲を限定する
プロンプト共有 生成画像を共有する際に、使ったプロンプトも一緒に渡せる

Sketchとテンプレートは、いずれも「プロンプトを言語で書ききる」負担を減らす方向の機能です。構図は描いて伝え、様式は言葉で伝える。役割分担が明確になりました。

出典:Introducing ChatGPT Images 2.5OpenAI Releases ChatGPT Images 2.5 With Sketch and Two New API Models

これまでのOpenAIモデルとの比較

GPT Imageシリーズの系譜を並べると、2.5の位置づけが見えます。

モデル 登場時期 主な変化
gpt-image-1 2025年4月 GPT Imageシリーズの初代
gpt-image-1.5 2025年12月16日 生成が最大4倍高速化。編集をまたいだ光・構図・人物の保持を改善
gpt-image-2(Images 2.0) 2026年4月21日 多言語を含む画像内テキスト描画を大きく改善
gpt-image-2.5 Flare / Sunburst 2026年9月8日 速度・参照忠実度・編集精度。品質設定にxhighmaxを追加

9か月で3世代。1.5はもともと2026年1月予定だったものが、GoogleのGemini 3とNano Banana Proへの対抗で前倒しされたと報じられました。このリリース間隔そのものが、画像生成が競争の主戦場になったことを示しています。

API側の2モデルは役割が分かれています。

  • GPT-Image-2.5 Flare — 既定の選択肢。GPT Image 2より高品質な画像を50%低いレイテンシで返します。SNS投稿、プロトタイピング、ビジュアル検索、大量生成向け。
  • GPT-Image-2.5 Sunburst — 編集をまたいだ制御の緻密さが要るプレミアム用途向け。生成時間は長くなります。キャンペーンクリエイティブや商品撮影の代替に。

設定面では、品質にxhighmaxが加わりました(従来はhighまで)。サイズは推奨が1024×1024、1536×1024、1024×1536で、カスタム指定も可能です。ただし幅・高さは16の倍数、アスペクト比は1:3〜3:1、各辺は3840px以下、総画素数は655,360〜8,294,400という制約があります。2560×1440を超える解像度は実験的扱いです。

出典:OpenAI Image generationガイドThe new ChatGPT Images is hereIntroducing ChatGPT Images 2.0

料金:「2倍値上げ」の正しい読み方

APIのトークン単価は、GPT Image 2からちょうど2倍になりました。

項目(100万トークンあたり) GPT Image 2 GPT Image 2.5(Flare / Sunburst共通)
画像入力 $4.00 $8.00
画像入力(キャッシュ) $1.00 $2.00
画像出力 $15.00 $30.00
テキスト入力 $2.50 $5.00
テキスト入力(キャッシュ) $0.625 $1.25

ここで止まると判断を誤ります。OpenAI自身がドキュメントで「トークン単価が同じでも1枚あたりのコストが同じとは限らない。トークン消費はモデルと品質設定で変わる」と明記しているからです。

実際、公式ドキュメントの出力トークン計算機で1024×1024を計算すると、次のようになります(画像出力トークンのみ。テキスト入力と参照画像の入力は別途かかります)。

モデル・品質 出力トークン 1枚あたり
GPT Image 2.5 low 196 $0.0059
GPT Image 2.5 medium 439 $0.0132
GPT Image 2.5 high 1,756 $0.0527
GPT Image 2.5 xhigh 3,122 $0.0937
GPT Image 2.5 max 7,024 $0.2107
GPT Image 2 low 196 $0.0029
GPT Image 2 medium 1,756 $0.0263
GPT Image 2 high 7,024 $0.1054

同じhighでも、GPT Image 2は7,024トークン、GPT Image 2.5は1,756トークンです。トークン単価が2倍でも消費が4分の1なので、1枚あたりは半額になります。逆に最上位のmaxはGPT Image 2のhighと同じトークン数を使うため、単価2倍がそのまま反映されて$0.2107です。

つまり2.5では品質ラベルの刻みが細かくなり、highmaxのあいだにxhighが挟まった格好です。単純な「値上げ」ではなく、「上に2段積まれ、mediumhighは半額になった」と読むのが実態に近いといえます。

ただしlowは例外で、ここだけは素直に倍増します。2.5も2も同じ196トークンしか使わないため、単価2倍がそのまま1枚あたりに乗り、$0.0029から$0.0059になります。ラフ案を数百枚単位で回す用途ではこの段を使うことが多いので、low前提で組んだ見積もりは作り直してください。安い段ほど値上げの影響を受けるという、直感と逆の構造になっています。

なお、ここまではすべて費用の話であって、画質の等価性を保証するものではありません。GPT Image 2のhighと2.5のhighが同じ仕上がりになるとは限らないため、本番投入前に代表的な素材で見比べる工程は省けません。

出典:OpenAI API料金Image generationガイドの出力トークン計算機

Nano Bananaとの比較

Googleの画像生成モデル「Nano Banana」ファミリーは、2026年9月時点で3層構成です。

モデル 実体 位置づけ
Nano Banana Pro Gemini 3 Pro Image 複雑なビジュアル・長文テキスト描画向けの最上位
Nano Banana 2 Gemini 3.1 Flash Image 速度と4K生成を両立する主力
Nano Banana 2 Lite Gemini 3.1 Flash Lite Image 超低遅延・低コスト

1枚あたりのコストを並べると、価格帯の重なりが見えます。

画像1枚あたりのAPI出力コスト比較。GPT Image 2.5のmaxが0.2107ドルで最も高く、mediumの0.0132ドルが最も安い

モデル・設定 1枚あたり
GPT Image 2.5 max(1024×1024) $0.2107
Nano Banana Pro(1K/2K) $0.134
Nano Banana Pro(4K) $0.24
GPT Image 2.5 xhigh(1024×1024) $0.0937
Nano Banana 2(1K / 2K / 4K) $0.067 / $0.101 / $0.151
GPT Image 2.5 high(1024×1024) $0.0527
Nano Banana 2 Lite(1K) $0.0336
GPT Image 2.5 medium(1024×1024) $0.0132

価格だけを見れば、GPT Image 2.5のmediumhighはNano Banana 2より安く、maxはNano Banana Proより高い。同じ「1枚いくら」の土俵に、両社が正面から並んだ状態です。

得意分野の違い

解像度:Nano Banana ProとNano Banana 2は4096×4096(約1,678万画素)まで出力します。一方でGPT Image 2.5の総画素数上限は8,294,400画素、各辺3840pxまでです。3840×2160のいわゆる4Kには届きますが、正方形4Kの領域はGoogleが押さえています。大判ポスターやKV素材ではこの差が効きます。

テキスト描画:Nano Banana Proは日本語を含む長文の描画精度が大きく向上した点が評価されています。GPT Image 2は文字描画の信頼性を売りにした世代で、2.5もその系譜にあります。ここは両社が最も競っている領域で、公開ベンチマークがまだ揃っていません。自社の書体・文言で試すのが確実です。

世界知識と検索連携:Nano BananaはGoogle検索によるグラウンディングを使い、実在の情報に基づいた画像を生成できます。Images 2.5も「実世界の情報を含む画像の正確さが向上した」としていますが、リアルタイム検索を明示的に組み込む設計はGoogle側の強みです。

参照画像:Nano Banana Proは最大14枚の入力画像と5人までの人物一貫性を掲げています。Images 2.5は枚数ではなく「参照した被写体が別の設定でも同一人物・同一商品に見え続ける」忠実度を訴求しています。訴求軸そのものが違う点に注意が必要です。

編集ワークフロー:ChatGPT上のコメント編集、Sketch、テンプレートという一連の導線は、現時点でOpenAI側が一歩進んでいます。「作る」より「直す」に時間を使う制作現場では、この差が体感速度を左右します。

出典:Gemini API pricingNano Banana ProNano Banana 2

マーケティング現場での使い分け

以上を、実務の判断表に落とすと次のようになります。

用途 第一候補 理由
SNS・ブログのアイキャッチを大量に回す GPT Image 2.5 Flare(mediumhigh 1枚$0.013〜$0.053で、速度も最速クラス
商品写真の背景差し替え・バリエーション展開 GPT Image 2.5 Sunburst 局所編集と参照忠実度が訴求点そのもの
大判ポスター・KVなど高解像度が要る素材 Nano Banana Pro / Nano Banana 2(4K) 4096×4096まで出力できる
実在の統計・地名・時事を反映した図版 Nano Banana Pro Google検索グラウンディングが使える
日本語の長文コピーを画像内に入れる 両方を試す 決着していない領域。自社書体で比較する
社内資料・ラフ案の量産 Nano Banana 2 Lite / GPT Image 2.5 low 1枚$0.006〜$0.034

「どちらが優れているか」ではなく、「どの工程にどちらを差すか」を決める段階に入っています。制作フローの上流(ラフ・構図探索)は速くて安いモデル、下流(最終アセット)は精度の高いモデル、という二段構えが現実的です。

安全性と来歴:SynthID採用という転換点

見落とされがちですが、企業のブランド運用に最も影響するのはここです。

OpenAIのシステムカードによると、敵対的なプロンプトを用いた自動評価で、ポリシー違反画像がそのまま出力された割合は次の通りでした。

モデル 違反画像が出力された割合(低いほど良い)
GPT-Image-2.5-Sunburst 1.09%
GPT-Image-2.5-Flare 1.41%
ChatGPT Images 2.0(ベースライン) 1.64%

これは意図的に違反画像を狙ったプロンプト群での数値であり、通常利用の発生率ではありません。

より重要なのは来歴(プロベナンス)の扱いです。ChatGPT Images 2.5では、従来のC2PAメタデータに加えて、Google DeepMindのSynthIDによる不可視ウォーターマークがChatGPT、Codex、OpenAI APIに導入されました。競合であるGoogleの技術をOpenAIが採用したことになります。

実務上の意味は明確です。生成画像には、メタデータを削除しても残る識別層が入ります。「AI生成であることが後から判別され得る」ことを前提に、広告表現やIR資料、採用サイトの素材ポリシーを設計しておく必要があります。隠す前提の運用は成立しなくなりつつある、と考えるべきでしょう。

出典:ChatGPT Images 2.5 システムカード

実際に作ってみる:この記事のアイキャッチ

この記事のアイキャッチは、ChatGPT Images 2.5で生成した波の背景をもとに、Codexの画像生成機能で日本語見出しとOpenAIの公式ワードマークを参照した表示を加えて仕上げています。背景制作と文字入れを分けた工程です。プロンプト設計の勘所は3つです。

  1. 構図はSketchで、様式は言葉で。 ラフな図形配置を@Sketchで描いてから、配色・質感・光をテキストで指定すると、構図の指示に文字数を割かずに済みます。
  2. 色は16進数で固定する。 ブランドカラーは「濃紺」ではなく#0A1628と書きます。Images 2.5は指定したビジュアルスタイルの反映が改善されており、具体的な値ほど効きます。
  3. 日本語見出しは短く、文字列を明示する。 今回は「GPT Image 2.5」「何がすごいのか」と比較対象の副題を画像生成時に指定しました。背景の余白に大きく配置し、生成後に文字の欠けとスマートフォンでの読みやすさを確認します。

生成サイズは1536×1024(3:2)で作り、1200×630へトリミングするのが扱いやすい方法です。1200×630を直接指定することはできません(高さが16の倍数でないため)。近い比率で直接生成したい場合は1536×800を指定します。

以下は、文字を入れる前の背景制作に使ったプロンプトです。末尾の文字を入れない指示は、背景を先に作るためのものです。

A wide 3:2 editorial hero image for a corporate tech blog article about a new
AI image-generation model. Executive-minimalist composition with generous
negative space on the left third.

Subject: a large, smooth, layered wave form built from translucent glass-like
ribbons flowing from the lower-left to the upper-right, as if a single sheet of
light has been folded three times. Each ribbon layer has a slightly different
finish — one matte, one satin, one high-gloss — so the difference in surface
texture is clearly readable.

Lighting: soft studio key light from the upper right, gentle falloff, subtle
caustic reflections where the ribbons overlap. Natural, physically plausible
light. No lens flare.

Color: ice-white background (#F3F8FC) with a deep navy (#0A1628) anchor mass in
the lower right. Ribbons graduate from teal (#147D92) through bright teal
(#2BBFAE) to mint accent (#00C896). Keep the palette to these five colors only.

Style: premium B2B technology brand photography, clean, calm, high-end. Shallow
depth of field on the far edge of the ribbons. Fine grain, no illustration
outlines, no 3D-render plastic look.

Composition: leave the left third almost empty for a headline. No text, no
letters, no numbers, no logos, no watermarks anywhere in the image.

Quality: high detail in the ribbon edges and reflections.

背景の正方形版は、同じ会話のなかで次のように追記して作りました。

Keep the exact same ribbons, materials, lighting and palette.
Recompose to a 1:1 square, moving the wave to the lower two-thirds and leaving
the upper third empty. Do not change the color values.

仕上げでは、背景とOpenAIの公式ブランドページにあるワードマークを参照画像として渡し、日本語見出しを含む横長版と正方形版をCodexの画像生成機能で編集しました。正方形版は文字を切り抜かず、上半分に見出し、下半分に波を置く構成にしています。文字入れ工程の使用モデル名は確認していないため、背景生成と同じモデルによる結果とは扱っていません。OpenAIの名称・ロゴはOpenAIに帰属します。本記事はフィールフロウによる解説です。

まとめ

ChatGPT Images 2.5の要点は、「画質が上がった」よりも「制作の反復が速く安くなった」ことにあります。レイテンシ最大50%減、highの実効コスト半減、局所編集と多ターン一貫性の改善は、いずれも1枚目ではなく5枚目・10枚目の修正で効いてくる性質のものです。

一方でNano Bananaファミリーは、4K解像度と検索グラウンディングという別の軸を押さえています。両者は同じ価格帯で正面衝突しつつ、得意分野は明確に分かれています。

導入判断は、次の順序で進めるのが確実です。

  1. 自社で実際に使う素材を3〜5種類選ぶ(商品写真、人物、図版、日本語コピー入りなど)
  2. 同じプロンプトで両モデルを走らせ、修正回数と所要時間を記録する
  3. usageレスポンスから1枚あたりの実トークン数を測り、月間の想定枚数に掛ける
  4. C2PAとSynthIDが入る前提で、広告・IR・採用の各面での表示ポリシーを決める

ベンチマークの順位ではなく、「完成までに何回直したか」で選ぶ。画像生成モデルの評価軸は、そこまで来ています。


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