Claude Fable 5.1登場:Fable 5・Opus 5・GPT-5.6 Sol・Grok 4.6を比較

AnthropicのClaude Fable 5.1を、Fable 5、Opus 5、GPT-5.6 Sol、Grok 4.6と比較します。コーディングと文章・資料作成の公開ベンチマーク、API価格、GitHub Copilotでの料金を整理し、用途別の選び方を解説します。

著者
岡崎 太
CTO / AIアーキテクト
公開日
読了時間
10分で読めます
Share

Anthropicは2026年9月1日、Claudeの新モデル「Fable 5.1」を発表しました。Fable 5の後継でありながら、長時間のコーディングや調査では、上位モデルのOpus 5を超える公開スコアも出ています。

先に結論をまとめます。

  • 難しいコーディングや長時間のエージェント作業では、Fable 5.1が今回比較したモデルの先頭です。
  • 文章・資料作成を含む知識労働では、Fable 5.1とOpus 5がほぼ並びます。仕上がりは用途ごとの確認が必要です。
  • 価格優先ならGrok 4.6、速度や既存環境との相性まで含めるならGPT-5.6 Solも有力です。
  • GitHub CopilotではFable 5.1を利用できますが、AI Creditsの消費はトークン量とモデル単価で変わります。

ただし、ベンチマーク1つで「最も良いモデル」は決まりません。この記事では、同じ指標で5モデルを比較できるデータを優先し、指標の違いと注意点も併記します。

Fable 5.1で何が変わったのか

Anthropicの発表によると、Fable 5.1は数時間にわたるコーディング、科学研究、業務タスクを主な改善領域としています。長い作業で途中の誤りを見つけ、原因へ戻って修正する能力を強化したモデルです。

価格表上の入力・出力単価はFable 5と同じですが、プロンプトキャッシュの読み取り単価が75%下がりました。Anthropicは典型的なワークロードで約25%、キャッシュを多用するエージェント処理で最大約45%の費用削減を見込んでいます。一方、出力が長くなれば総額が増えるため、単価だけでなく実タスクのトークン量で比較する必要があります。

また、Fable 5.1には初期提供時の追加安全対策があり、約4%の出力トークンが別モデルへフォールバックした状態で外部評価されています。この条件は、後述するスコアを読むうえで重要です。

総合力:Artificial AnalysisではFable 5.1が首位

独立評価機関Artificial Analysisの「Intelligence Index」では、各モデルの最高設定を比較すると次の結果でした。

モデル Intelligence Index
Claude Fable 5.1 66
Claude Opus 5 63
Claude Fable 5 62
GPT-5.6 Sol 61
Grok 4.6 61

Fable 5.1は66で首位です。ただし、この指数は複数評価の合成値であり、用途別の品質を直接表すものではありません。そこで、コーディングと文章・資料作成を分けて見ていきます。

出典:Artificial AnalysisによるFable 5.1評価

コーディング比較:CursorBench 3.2.0

コーディングでは、実際の開発環境に近いエージェント作業を測るCursorBench 3.2.0を使います。AnthropicとxAIが公表した同一バージョンの値を並べました。

CursorBench 3.2.0におけるClaude Fable 5.1、Fable 5、Opus 5、Grok 4.6、GPT-5.6 Solのスコア比較。Fable 5.1が73.4で最高

モデル CursorBench 3.2.0
Claude Fable 5.1 73.4
Claude Fable 5 70.5
Claude Opus 5 70.0
Grok 4.6 69.9
GPT-5.6 Sol 67.2

Fable 5.1はFable 5から2.9ポイント伸び、今回の5モデルで最も高い73.4です。Fable 5、Opus 5、Grok 4.6は70前後に集まり、差は小さくなっています。

より長いターミナル作業を測るAnthropic公表のTerminal-Bench 4.0でも、Fable 5.1は55.8、Opus 5は52.3、Fable 5は42.0、GPT-5.6 Solは37.3でした。さらに科学用途のTerminal-Bench ScienceではFable 5.1が52.6で、Fable 5の24.7、Opus 5の29.0、GPT-5.6 Solの22.4を大きく上回っています。

ただし、これらはベンダーが公表したスコアです。プロンプト、思考量、ツール、再試行、フォールバックの条件が異なれば、実務の順位も変わります。既存リポジトリで小さなタスクを同じ条件で試すことが、導入判断には欠かせません。

出典:AnthropicのFable 5.1発表xAIのGrok 4.6発表

文章・資料作成比較:AA-Briefcase

文章だけを完全に分離した共通ベンチマークは多くありません。ここでは、メモ、プレゼンテーション、スプレッドシートなど、業務成果物を作る力を測るArtificial Analysisの「AA-Briefcase」を文章・資料作成寄りの指標として使います。

AA-Briefcaseは、4つの複数週プロジェクトに含まれる91タスクを評価します。評価軸は、要件への適合、分析品質、見せ方です。

AA-BriefcaseにおけるClaude Fable 5.1、Opus 5、Grok 4.6、Fable 5、GPT-5.6 Solのスコア比較。Fable 5.1とOpus 5が僅差

モデル AA-Briefcase 読み方
Claude Fable 5.1 1,694 最高点。分析・要件適合が強い
Claude Opus 5 1,687 Fable 5.1と統計的にほぼ同等
Grok 4.6 1,575 中位グループの上側
Claude Fable 5 1,572 Grok 4.6とほぼ同等
GPT-5.6 Sol 1,494 今回の比較では5位

1位と2位の差は7点で、信頼区間も重なります。Artificial Analysisの内訳ではFable 5.1が分析品質とルーブリック適合で優位、Opus 5がプレゼンテーション品質で優位でした。「文章が自然か」「ブランドの語調に合うか」といった主観品質を直接測るものではありません。

利用企業の定性的な評価では、CanvaがFable 5.1の文章を「理解しやすく、意味が明確で、ガイダンスへの追従が良い」と報告し、Gleanは調査、下書き、成果物作成を含む評価でFable 5より約2対1で好まれたと述べています。いずれもAnthropicの発表内の顧客コメントであり、独立ベンチマークとは分けて受け取るべきです。

出典:AA-BriefcaseリーダーボードAnthropicのFable 5.1発表

用途別にどう選ぶか

長時間の実装・デバッグならFable 5.1

複数ファイルの変更、テスト、失敗原因の切り分けを何度も繰り返す作業では、Fable 5.1を最初に試す価値があります。CursorBenchだけでなくTerminal-Bench系でも改善幅が大きく、長い作業を継続する設計と一致しています。

重要な提案書や最終成果物ならFable 5.1とOpus 5を比較

AA-Briefcaseでは両者が僅差です。分析や指示への適合を重視するならFable 5.1、プレゼンテーションの仕上げを重視するならOpus 5という仮説を立てられます。ただし、最終選択は自社テンプレートと評価基準でA/B比較してください。

コスト重視ならGrok 4.6も有力

Grok 4.6はCursorBenchでOpus 5に0.1ポイント差まで迫りながら、APIの標準コンテキストでは入力100万トークン2ドル、出力6ドルです。大量処理では品質差より価格差が効く場合があります。

速度・エコシステムも含めるならGPT-5.6 Sol

今回の2指標では首位ではありませんが、モデル選びはスコアだけでは決まりません。応答速度、ツール連携、既存プロンプト、運用監視まで含め、総作業時間と成功率で判断します。

API価格を比較する

各社の公表価格を100万トークンあたりで整理すると、次の通りです。長文コンテキスト、キャッシュ、優先処理などで別料金になる場合があります。

モデル 入力 出力 補足
Claude Fable 5.1 $10 $50 キャッシュ読み取り $0.25
Claude Fable 5 $10 $50 キャッシュ読み取り $1
Claude Opus 5 $5 $25 Fable 5.1の半額
GPT-5.6 Sol $4 $20 2026年11月21日までを含む期間限定価格
Grok 4.6 $2 $6 20万トークン超は入力 $4、出力 $12

ここには重要な逆転があります。名称上はFableがOpusより軽量に見えても、APIの表示単価ではFable 5.1がOpus 5の2倍です。キャッシュが効く反復処理ではFable 5.1の改善が大きい一方、毎回新しい長文を生成する用途ではOpus 5やGrok 4.6が安くなる可能性があります。

GPT-5.6 Solの期間限定価格は少なくとも2026年11月21日まで提供されます。また、入力が27万2,000トークンを超えるリクエストでは、全体に対して入力2倍、出力1.5倍の長文料金が適用されます。

出典:Claude Fableの価格Claude Opus 5の発表GPT-5.6 Solの価格Grok 4.6の発表

GitHub CopilotでFable 5.1を使う場合の価格

GitHub CopilotでもClaude Fable 5.1は一般提供されています。推論レベルを設定でき、対応するCopilot Chatやコーディングエージェントから選択できます。

Copilotの課金では、1 AI Creditが0.01ドルです。Fable 5.1の従量単価は100万トークンあたり、入力10ドル、キャッシュ読み取り0.25ドル、キャッシュ書き込み12.50ドル、出力50ドルです。定額プランの月額と含まれるAI Creditsは次の通りです。

Copilotプラン 月額 月間AI Credits
Pro $10 1,500
Pro+ $39 7,000
Max $100 20,000
Business $19 / ユーザー 1,900 / ユーザー
Enterprise $39 / ユーザー 3,900 / ユーザー

Fable 5.1を1回使うたびに固定数を消費する仕組みではなく、入力、キャッシュ、出力のトークン数からAI Creditsへ換算されます。長い会話や大きなリポジトリでは、キャッシュの利用状況と出力長が費用を左右します。

データ取り扱いにも注意が必要です。GitHubの案内では、Fable 5 / 5.1のプロンプトと出力は安全分類の運用のためAnthropic側で既定保持されます。対象企業は申請と管理者設定により、2026年末までの期間限定免除としてゼロデータ保持を利用できます。その後も継続利用するには、データを顧客管理下に置きつつ自動安全監視を行う「Enterprise Frontier Safeguards(EFS)」が必要です。機密コードを扱う組織は、価格だけでなく管理者設定と保持条件を確認してください。

出典:Copilot対応モデルCopilotのモデル別料金Copilotプラン比較

まとめ

Fable 5.1は、Fable 5の単なる小幅更新ではありません。公開ベンチマークでは、コーディングで比較対象5モデルの首位、文章・資料作成を含む知識労働ではOpus 5とほぼ同等の最上位に位置します。

一方、API単価はOpus 5やGrok 4.6より高く、初期提供時のフォールバックという評価条件もあります。最適な選択は、次の順序で確かめるのが現実的です。

  1. 自社の代表タスクを3〜5件選ぶ
  2. 同じ指示、同じツール、同じ採点基準で比較する
  3. 成功率、修正回数、所要時間、実際のトークン費用を記録する
  4. 機密性とデータ保持条件を確認する

ベンチマークは候補を絞る地図です。最終判断は、自社のコードや文章で測った「完成までの総コスト」で行いましょう。