画像生成AIを使っていて、「日本語を入れても読める画像が、そのまま出てくる」と感じる場面が増えました。見出し入りのアイキャッチやポスターまで生成できるようになると、気になるのは、どのモデルを何に使うかです。
ただ、写真として美しい画像と、指定した日本語が一字一句正しい画像では、評価する能力が違います。そこで今回は、「総合画質」「ジャンル別」「日本語の正確さ」の3本立てで比較します。
先に判断の要点を示します。
- 総合画質:公開評価ではGPT Image 2.5のSunburst / Flareが上位。両者の差は小さく、品質設定も含めて読む必要があります。
- ジャンル別:Arenaでは同じOpenAI勢が広く上位。その次の有力候補は、写真ならNano Banana 2.1、商用デザインやカートゥーンならGrokのCanvas版など、部門で変わります。
- 日本語の正確さ:OpenAIとGoogle以外にも成功作例があります。ただし、同じ課題・条件で全モデルを比較した資料が不足しており、確定順位は付けられません。
調査基準日は2026年10月9日です。 本記事は公開ベンチマーク、公式資料、利用者・メディアの原検証を比較したものです。当社が各モデルで同じ画像を生成して採点した独自ベンチマークではありません。
比較対象:モデル名と世代をそろえる
まず、現行モデルの名前を確認します。OpenAIで今回比較する新世代は、GPT Image「2.1」ではなく、ChatGPT Images 2.5と、そのAPIモデルのFlare / Sunburstです。
| 提供元 | 今回の主な比較対象 | 提供・版を読むときの注意 |
|---|---|---|
| OpenAI | GPT Image 2.5 Sunburst / Flare | ChatGPT Images 2.5は製品側の名称。APIでは2モデルを区別する |
| Nano Banana 2.1 | 10月6日にGemini APIでGA。IDはgemini-nano-banana-2.1 |
|
| xAI | Grok Imagine Image 2.0 | ArenaのCanvas表記や日付付き版とは、評価対象を区別する |
| Microsoft | MAI-Image-2.6 / Flash | FoundryではPublic Previewとして提供 |
| ByteDance | Seedream 5.0 Pro | 日本語を含む多言語の文字描画を公式に訴求 |
| Alibaba | Qwen-Image-3.0 / 3.0-Pro | 通常版とProの検証結果を混ぜない |
| Ideogram | Ideogram 4.5 | 日本語の商品翻訳編集作例がある |
OpenAIは9月8日の公式発表で2.5とAPIの2モデルを紹介しています。GoogleのGA日はリリースノート、API IDはモデル仕様で確認できます。Grokの発表とMicrosoftの提供状況も参照しました。日本語の根拠は後半で個別に示します。
ChatGPTやGeminiの画面で使うときと、APIでモデル・品質を指定するときは条件が違います。以下のAPI設定別順位を、アプリの全出力にそのまま当てはめることはできません。2.5の料金やチャットとAPIの違いは、前回の比較記事でも解説しています。
1. 総合画質ランキング
総合の主表には、Artificial AnalysisのAA-Image-T2I v2.0を使います。テキストから生成した画像を人間が見比べ、どちらを好むかの投票からEloを算出する評価です。「総合画質」は、この公開選好評価を指します。価格・速度・日本語の正解率を合算した当社独自の点数ではありません。
公開評価の上位10モデル・設定
| 順位 | モデル・設定 | Elo(±は95%区間の半幅) |
|---|---|---|
| 1 | GPT Image 2.5 Sunburst(max) | 1198 ±9 |
| 2 | GPT Image 2.5 Flare(max) | 1191 ±9 |
| 3 | GPT Image 2(high) | 1172 ±8 |
| 4 | Nano Banana 2.1 | 1160 ±10 |
| 5 | Grok Imagine Image 2.0 | 1156 ±11 |
| 6 | MAI-Image-2.6 | 1151 ±10 |
| 7 | Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image) | 1126 ±7 |
| 8 | Muse Image | 1115 ±9 |
| 9 | GPT Image 1.5(high) | 1107 ±8 |
| 10 | MAI-Image-2.6-Flash | 1105 ±9 |
出典:Artificial Analysisの原表(2026年10月9日取得)。旧世代も含む、モデル・設定単位の順位です。
1位と2位は明確な勝敗が付いたとは読めません。 原表の順位範囲も、ともに1〜2位です。4〜6位のNano Banana 2.1、Grok、MAIも順位範囲が重なっています。数点差を根拠に「Grokは明確に劣る」と結論づけるのは早いでしょう。
実務では、まず上位グループから自分の素材で試す候補を選びます。表は最高品質設定を含むため、速度や予算を重視する運用では候補の順番が変わります。
ランキングにないモデルは低品質なのか
表の上位10件に入っていないことと、使う価値がないことは別です。とくに専門用途や新モデルは、評価への収録状況を確認する必要があります。
Midjourneyのバージョン情報ではV8.2、アニメ向けにはNiji 7が案内されています。FLUX.3 Imageも確認対象に含めましたが、今回取得した原表で同条件の比較順位を確認できなかったため、旧FLUX.2の点数を新モデルへ転用していません。
Adobe Fireflyの公式ガイドにあるFirefly Image 5も候補です。ただし、Firefly上で選ぶ他社モデルの成果を、Adobe自身の画像モデルの成績として数えないようにします。
2. ジャンル別ランキング
ジャンル別には、ArenaのText-to-Imageカテゴリを使います。画面の更新表示は10月8日、確認日は10月9日です。Artificial Analysisとは投票の母集団・評価条件・Elo尺度が異なるため、両サイトの点数を平均して独自順位を作ることはしません。
今回確認した7部門では、表示上の1〜3位は共通して次の順でした。
- GPT Image 2.5 Sunburst
- GPT Image 2.5 Flare
- GPT Image 2(medium)
Sunburst / FlareなどにはPreliminary(暫定)表示がありました。上位3位にも順位範囲の重なりがあり、文字部門のFlareとGPT Image 2は、ともに2〜3位の範囲でした。ここからの表は、各部門の4〜6位に並ぶモデルです。自分の用途で次に比較する候補を見るために使ってください。
| ジャンル | 4位 | 5位 | 6位 | 原表 |
|---|---|---|---|---|
| 写真表現 | Nano Banana 2.1 | MAI-Image-2.6 | Grok Canvas | Photorealistic |
| 商用デザイン | Grok Canvas | MAI-Image-2.6 | Nano Banana 2.1 | Commercial Design |
| カートゥーン | Grok Canvas | MAI-Image-2.6 | Nano Banana 2.1 | Cartoon |
| ポートレート | Grok Canvas | MAI-Image-2.6 | Nano Banana 2.1 | Portraits |
| アート | MAI-Image-2.6 | Grok Canvas | Reve 2.1 | Art |
| 3D表現 | Nano Banana 2.1 | MAI-Image-2.6 | Grok Canvas | 3D Modeling |
| 文字入り画像 | MAI-Image-2.6 | Nano Banana 2.1 | Grok Canvas | Text Rendering |
Grok Canvasは原表のgrok-imagine-image-2.0 (canvas)を短縮した表記です。総合表のGrokと同一条件とは扱いません。アートのMAI / Grok、3D表現のNano Banana / MAIは表示Eloが同点でした。他の行にも誤差範囲の重なりがあり、表の順番だけで細かな優劣を断定できません。
自分の制作物へ読み替えるときの注意
写真表現は、商品撮影の代替候補を絞る入口になります。ただし、素材の質感が美しいことと、参照商品の形やラベルを正確に保持することは別の課題です。商品画像の仕事では、編集後の保持も確認してください。
カートゥーンの順位は、日本の漫画やアニメの全用途を代表しません。漫画制作なら、同一人物を複数コマで維持できるか、吹き出しが正しいかも必要です。3D表現も、ここでは生成画像の評価であり、編集可能な3Dメッシュの品質順位ではありません。
そして、Text Renderingは日本語専用の評価ではありません。 文字入り画像で上位のモデルが、日本語の長文でも上位とは限らないため、次の軸を独立させます。
3. 日本語の正確さ:公開検証からの暫定評価
日本語では、「読める文字がある」「指定した原稿と完全一致する」「説明内容まで正しい」を分ける必要があります。美しい「日本語風の文字」が並んでいても、一文字抜けていたり、金額が変わっていたりすれば実務では使えません。
現時点で、今回の全モデルを共通条件で比較した日本語正確率は確認できませんでした。そのため、ここでは数値順位を保留し、公開証拠の種類ごとに候補を整理します。表内の順番は精度順位ではありません。
原検証に成功・失敗の報告があるモデル
| モデル | 日本語について確認できたこと | 評価の限界 |
|---|---|---|
| GPT Image 2.5 Flare / Sunburst | スライド課題のAPI比較。Flareは誤字が見当たらなかったとの評価。Sunburstには指定外の文言やグラフの不整合 | 5課題・各2回の検証。長文全般の成功率ではない |
| Nano Banana 2.1 | イベント告知などで、主要文字・日時・料金が読めるとの比較報告 | 各課題1回。モデル間の思考設定がそろっておらず、原稿完全一致率でもない |
| Seedream 5.0 Pro | 日本語の小説表紙3作例。タイトルを描ける例を確認できる | 少数作例。字形や文字以外の指示への追従も別途確認が必要 |
| Qwen-Image-3.0(通常版) | 日本語ゲーム画面などを生成。ただし濁点・半濁点や長文に崩れ | 3.0-Proの精度を証明する検証ではない |
| Grok Imagine Image 2.0 | 短い指定文字や日本語HUDの成功例。一方、説明画像には内容の誤りや英語混入 | 文字が読めることと、説明の正しさを分けて評価する必要がある |
OpenAIの根拠はSoftBankのAPI検証です。総合画質でSunburstが上位でも、この検証だけから日本語でFlareより正確とはいえません。Googleの根拠はMojiの比較記事で、Google AI Studioの1K・正方形・検索オフ、約500pxのプレビューを中心に評価しています。
Seedreamは公式発表が日本語を明記し、利用者の表紙検証にも作例があります。Qwenも公式発表では日本語を含む12言語を掲げますが、GIGAZINEの原検証では文字の破綻が報告されています。Grokの成功・失敗はGIGAZINEのImage 2.0検証で確認できます。
公式作例はあるが、独立比較が足りないモデル
Ideogram 4.5の公式ページには、商品の文字を日本語へ翻訳する編集作例があります。日本語を含む編集能力の根拠になりますが、新規生成・長文・繰り返し試行の安定性まで確認したものではありません。
MAI、Muse、Reveなどは、画質の順位が高くても、今回の調査では日本語の原稿一致を比較できる証拠が不足しました。FireflyやFLUX.3も、日本語入力への対応だけを理由に画像内の日本語を正確と評価していません。Midjourneyの文字生成ガイドも、短いラテン文字で良い結果が出やすいと案内しています。
OpenAIとGoogle以外にも、日本語が読める画像の成功例はあります。全モデルが日本語を常に正確に描ける、とまでは確認できていません。
日本語ランキングを確定するために必要な試験
日本語の順位を付けるなら、次の課題を同じ原稿で比較します。これは今後の試験設計案であり、本記事では未実施です。
| 課題 | 原稿・確認する点 |
|---|---|
| 短い見出し | 「画像生成AI体験会」:漢字・かな・英字の完全一致 |
| 金額・日時 | 「10月24日(土)14:00」「参加費1,500円」:数字・記号・桁 |
| 濁点・小書き文字 | 「ぱぴぷぺぽ」「ヴァイオリン」「キャッシュレス」:点・小文字の保持 |
| 長い本文 | 同じ100〜200字:脱字・重複・勝手な追記 |
| 縦書き・複数領域 | 文章順・改行・見出しと本文の対応 |
| 編集 | 「1,500円」を「1,800円」へ:変更箇所以外の保持 |
各課題を少なくとも5回生成し、モデルID、生成画面かAPIか、品質・解像度・プロンプト補助の有無を記録します。文字単位の誤り率と、画像内の指定原稿がすべて一致した割合を別々に数え、人の目でも校合します。これなら、見栄えの良い1枚を選んだ比較と、普段の失敗しにくさを区別できます。
ベンチマーク・まとめ記事・SNSをどう使ったか
ベンチマークは順位と不確実性、公式資料はモデル名と提供状況、原検証記事は日本語の成功・失敗を確かめるために使いました。まとめ記事で候補を見つけても、世代や条件は元資料へ戻って確認しています。
SNSも作例を知る入口になります。RedditのOpenAIとNano Bananaの比較投稿では、写実性の好みだけでなく、構図の違いを指摘するコメントも見られました。ただし、比較対象はNano Banana 2 / Proで、2.1ではありません。試行回数や選別条件も不明なため、順位の点数には使っていません。
「同じプロンプト」でも、生成回数、採用した1枚、品質設定が違えば結果は動きます。SNSの印象と、条件が明示された検証結果は分けて読みたいところです。
制作現場ではどう選ぶか
フィールフロウのコンテンツ制作でも、まず画質とジャンルで候補を絞り、日本語を含む代表的な原稿で確かめる順序が現実的だと考えています。
画質を優先する制作なら、GPT Image 2.5の2モデルを比較の起点にします。そこへ写真表現ではNano Banana 2.1、商用デザインではGrok Canvasなど、用途に合う候補を加えます。
日本語入りのポスターや資料なら、Flare / Sunburst、Nano Banana 2.1に加え、Seedreamなどの作例がある候補を試します。字形、原稿一致、内容の正しさをそれぞれ確認し、日付・価格・連絡先は公開前に原稿と照合します。
漫画やシリーズものなら、一枚絵の順位に加えて人物の一貫性と編集時の保持を確認します。日本語が出せるようになったことで制作範囲は広がりました。その分、モデル選びも「絵がきれいか」から、使いたい成果物を安定して作れるかへ進んでいます。
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