GPT-6.1 TerraとSonnet 5.5を比較:コーディング・執筆の実力と、Terraが上回った2つの評価

GPT-6.1 TerraとClaude Sonnet 5.5を、同じ評価機関の公開データで比較。今回参照したターミナル開発・業務成果物の作成評価ではSonnetが上回る一方、Terraは科学研究のターミナル作業と業務PDF読解で高い掲載値を示しました。日本語執筆の未実測、API単価と完成までの費用の違いも整理します。

著者
岡崎 太
CTO / AIアーキテクト
公開日
読了時間
9分で読めます
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2026年10月26日、OpenAIがGPT-6.1 Terraを公開しました。画像や画面を理解して操作する仕事に加え、簡潔で自然な文章作成を重視したモデルです。標準APIの入出力単価は、Claude Sonnet 5.5の半分です。

コーディングと執筆で選ぶなら、どちらから試すとよいのでしょうか。今回は日常業務の比較対象としてClaude Sonnet 5.5を置き、上位モデルのOpus 5.5は補足で扱います。

公開評価から見えてきたのは、次の違いです。

  • 今回参照したターミナル作業と業務成果物の作成評価では、Sonnetの掲載値が上。
  • 科学研究のターミナル作業と、業務PDFの読解ではTerraの掲載値が上。
  • 日本語ブログの書き味は、これらの点数だけでは決められない。

本記事は2026年10月27日時点の公開資料を比較したものです。当社による両モデルの同条件での実測は行っていません。用途の提案は、公開評価を踏まえた筆者の整理です。

出典:OpenAI公式発表、Sonnet 5.5公式発表

比較条件:同じ評価機関の値を使う

性能比較の主軸には、評価機関Artificial Analysis(以下AA)の掲載値を使います。対象はGPT-6.1 TerraのMaxと、Claude Sonnet 5.5のMax, Default Fallbackです。Sonnet側は、同機関が記載するフォールバックを含む設定の結果であり、モデル単体を完全に同じ条件で測ったものではありません。

同じ機関が各評価の手法に沿って測った値をそろえることで、メーカーごとの発表値を直接並べるより比較しやすくなります。ただし、思考設定の名前が同じでも、計算量や費用まで同じではありません。Claude Codeやアプリの既定設定での結果とも区別してください。

以下の割合は小数第1位、Eloは整数へ丸めています。掲載値の大小を示すもので、差の統計的な有意性まで確認したものではありません。

出典:AAのTerra Max、AAのSonnet Max, Default Fallback(2026年10月27日確認)

コーディング:まずSonnet、科学研究の処理はTerraも候補

ターミナル上で複数の手順を進めるTerminal-Bench 4.0では、Sonnetが上回りました。

評価・単位 Terra Max Sonnet Max
Terminal-Bench 4.0・成功率 55.6% 63.6%
Terminal-Bench-Science 0.1・成功率 57.6% 53.3%

出典:AAのTerra、AAのSonnet。SonnetはDefault Fallback。どちらもAAが独立に実行した評価です。

Terminal-Bench 4.0には、ソフトウェア開発だけでなく、運用・機械学習などの複雑なターミナル作業も含まれます。すべてのプログラミング能力を測る試験ではありませんが、日常の開発で最初に試すモデルとしてはSonnetを選ぶ根拠になります。

一方、科学研究のワークフローをターミナルで実行するTerminal-Bench-Science 0.1では、Terraが4.3ポイント上でした。これは未丸め値から計算して小数第1位に丸めた差です。AAは70課題を各3回実行し、1回の試行で成功する割合(pass@1)を平均しています。各課題は、用意されたテストをすべて通過して初めて成功となります。

この結果から、データや画像を処理し、計算結果を検証できる科学研究の作業では、Terraも比較候補に入ります。ただし、この差を「一般的な開発でもTerraが上」と広げることはできません。両評価で順位が逆転している点が、仕事別に選ぶ理由です。

出典:AAのTerminal-Bench 4.0、AAのTerminal-Bench-Science 0.1

Terraが上回ったもう一つの評価:業務PDFの読解

GDP.pdfは、長い業務PDFを読み、課題ごとの細かな要件に沿って答える評価です。ここでもTerraの掲載値が上回りました。

評価・単位 Terra Max Sonnet Max
GDP.pdf・All-pass率 28.6% 25.8%

出典:AAのTerra、AAのSonnet。SonnetはDefault Fallback。

AAの実装では、100課題に各5回の独立した試行を行います。All-pass率は、一つの試行ですべての採点基準を満たした割合です。PDFの文字認識率や、平均して何割の要件を満たしたかを表す数値ではありません。

Terraの上回り幅は2.8ポイントです。両モデルとも全条件を満たす割合は3割未満であり、確認を省いて任せられる結果ではありません。元資料の該当箇所に戻って確認できる形で回答させ、人が照合する業務で試す候補として読みたい数値です。

出典:AAのGDP.pdf評価方法

TerraとSonnetの科学研究ターミナル作業と業務PDF読解の掲載値を比較したグラフ。Terraは57.6%対53.3%、28.6%対25.8%で上回る。差の統計的有意性は未確認。

執筆:業務成果物の作成はSonnet、日本語の書き味は別に確かめる

業務成果物を作るAA-Briefcase v1.1では、Sonnetが大きく上回りました。

評価・単位 Terra Max Sonnet Max
AA-Briefcase v1.1・総合Elo 1,402 1,812

出典:AAのTerra、AAのSonnet。SonnetはDefault Fallback。Eloは相対評価の指標であり、正答率ではありません。

この評価は、メモ、プレゼンテーション、スプレッドシートなどを含む業務上の成果物を対象にします。要件の達成、分析の質、見せ方を組み合わせた評価なので、提案書や報告資料を完成させる用途の参考になります。

ただし、日本語ブログの自然さや、書き手らしい語調だけを測った評価ではありません。OpenAIはTerraを、与えられた資料に基づく簡潔な文章作成の候補に挙げています。短い下書きや要約で試す理由はありますが、Sonnetより日本語がうまいと結論づける根拠にはなりません。

出典:AA-Briefcaseの評価方法、OpenAIのモデル選択ガイド

自社の記事で比べるなら、同じ資料・読者・文字数・文体指定を渡し、モデル名を伏せたA/Bで確認する方法が実務的です。見る項目は、出典への忠実さ、構成、日本語の自然さ、語調、修正にかかった時間です。本記事ではこの日本語A/B比較をまだ実施していません。

費用:入出力単価は半分、完成までの費用は仕事次第

標準APIの入出力料金は、100万トークン当たり次のとおりです。長文などの追加条件、キャッシュ、外部ツール料金はこの表に含めていません。

標準API料金 Terra Sonnet
入力/100万トークン $1 $2
出力/100万トークン $5 $10

出典:Terra公式仕様、Sonnet公式発表(2026年10月27日確認)

たとえば、追加料金がかからない範囲の複数リクエストで、合計入力200万・出力100万トークンを使った場合、Terraは $7、Sonnetは $14 です。これは同じトークン量を消費した場合の計算例で、完成原稿1本やPR1本の費用が半額になるという意味ではありません。

参考として、AAのIntelligence Index v4.3.2における加重平均タスク費用は、Terra Maxが $0.40、Sonnet Max, Default Fallbackが $5.46 です。ただし、この設定での総合指標も48対56と異なります。同じ品質を同じ確率で得る費用の比較ではなく、AAの評価課題とトークン消費に基づく値です。

出典:AAのTerra Max、AAのSonnet Max, Default Fallback

現場では、全試行の利用料金に、人が確認・修正する時間を加えて比較したいところです。API単価から、ChatGPTやClaudeの定額プランで使える回数を換算することもできません。

Opus 5.5はどこに置くか

Opus 5.5は、複雑で答えが一つに定まらず、継続的な判断が必要な仕事の比較対象として残します。Anthropicも、範囲が明確な日常タスクにSonnet、複雑で開かれた仕事にOpusという位置づけを示しています。

Terraの低コストを示す補足として、OpenAIはMax設定のAgents’ Last Examで、Opus 5.5に対してタスク当たり費用が約9分の1と報告しています。これは特定のPC操作を伴う評価でのコスト比較で、Opusより高得点だったという主張でも、コーディングや執筆全般で費用が9分の1になるという保証でもありません。

出典:Sonnet公式発表、Terra公式発表

自分たちの仕事で、最初に何を試すか

今回の公開評価を踏まえると、筆者なら次のように始めます。

  • 日常の開発と、提案書・報告資料の完成:Sonnetから試す。
  • 科学研究のターミナル作業、業務PDFに基づく回答:Terraも比較し、元資料やテストで結果を確認する。
  • 資料からの短い下書き・要約を繰り返す仕事:Terraの品質と修正時間を測る。
  • 複雑な設計や判断を重ねる仕事:Opusも含めて比べる。

フィールフロウのAI仕様駆動開発では、モデルを選ぶ前に、任せる作業と完了条件を定めます。コードなら回帰テストとレビュー、文章なら出典への忠実さと読者に合う表現を確認する。その条件を満たすまでの費用と時間で比べれば、モデル名の順位よりも、自分たちの業務に合う選択ができます。

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